静蘭は足早に邸の奥に足を進ませる。 少々乱暴に扉を開けて入ったのは静蘭の自室だった。 筆をとり料紙を広げる。 サラサラと几帳面な文字が綴られていく。 静蘭の頭は冷え切っていた。 (私としたことが、あんな簡単な挑発に乗るとは) そう。 常ならば軽くかわせる類の挑発だった。 それだけ動揺していた自分自身が静蘭は許せなかった。 コウと名乗る人物と絳攸。 秀麗は違う人物と判断したようだが、静蘭はそうは思わなかった。 少なくとも、あの顔で何もないわけがない。 静蘭は気づいた事があった。 秀麗が感じているだろう違和感の理由。 (彼は為政者の顔で接していた) 絳攸は危うきには近づかずの精神で静蘭と接するところがある。 それがもし、何らかの理由であかの他人を演じなければならなくなったら? 彼の態度はそのように映るのだ。 「なんにせよ、これではっきりする。 同じ人間が二人いるわけがないのですから」 静蘭は筆を擱く。 机案の上には二通の文がしたためられていた。 ・ようやく boy meets girl ですね。(古っ) どちらかというと、絳攸 vs 静蘭・・・・。 何故、こんなんなっちゃったんだか。(20080328) |
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